→ 無料版第7回の続きです
無料版では保湿の3つの仕組みをお伝えしました。有料版ではさらに踏み込んで、具体的な成分の選び方と、業界が言わない保湿の真実をお伝えします。
保湿成分は3つのカテゴリで設計する
保湿成分は大きく3つのカテゴリに分かれます。この設計を知るだけで、成分表示の読み方が根本から変わります。
Humectant(ヒューメクタント)
水を引き込む
水分を肌に引きつけて抱え込む役割。スポンジのように水を集める成分です。
例:グリセリン、ヒアルロン酸、尿素、PCA-Na
Barrier(バリア)
水を保持する構造を作る
角質層の構造を整えて水分が逃げないようにする役割。保湿の中核を担います。
例:セラミド(各種)
Occlusive(オクルーシブ)
蒸発を防ぐフタ
肌の表面を覆って水分の蒸発を防ぐ役割。最後のフタとして機能します。
例:ワセリン、スクワラン、シリコン類
保湿はこの3つを組み合わせて設計することが基本です。どれかひとつに頼るのではなく、3つが揃って初めて本当の保湿になります。
セラミド 最重要成分の真実
セラミドは保湿成分の中で最も重要な成分のひとつです。角質層の細胞間脂質の約50%を占めています。
役割は水分を保持することではなく、バリア構造そのものを作ることです。セラミドが減るとTEWL(経皮水分蒸散)が増加して、水分がどんどん外に逃げていきます。敏感肌・ニキビ悪化・乾燥、これらの根本にセラミド不足があることが多いです。
セラミドの種類
ヒト型セラミド 最も理想的
人間の角質層の構造に最も近い成分で、バリア回復能力が高いです。敏感肌や乾燥肌に最も適しています。
セラミドNP、セラミドAP、セラミドEOP、セラミドNG など
植物セラミド 中程度
保湿効果はありますが、バリア再構築という意味ではヒト型セラミドより弱いです。
コメヌカスフィンゴ糖脂質 など
疑似セラミド コスト重視
コストが安く、バリア再現力は中程度です。配合のしやすさから多くの製品に使われています。
セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド など
種類より濃度が重要です。
「ヒト型セラミド配合」と表示されていても、配合量が0.0001%では意味がほぼありません。第4回でお伝えした成分表示の話と同じで、セラミドが成分表示の前半に記載されているかどうかが判断の基準になります。実際に効果が期待できるのは0.5%以上と言われています。
ヒアルロン酸 分子量の問題
ヒアルロン酸は1gで約6Lの水を保持できると言われる優秀な保湿成分です。でも実態を知っておく必要があります。
分子量によって働きが全く違う
高分子ヒアルロン酸 安全性◎
肌の表面に留まって保湿します。刺激が少なく安全性が高い。
中分子ヒアルロン酸 バランス型
表面から少し浸透して保湿します。最近の主流のひとつ。
低分子ヒアルロン酸 要注意
浸透力がありますが、炎症を誘導したり敏感肌を悪化させる可能性があるという研究もあります。「低分子ヒアルロン酸」を売りにしている製品には注意が必要です。
NMF 地味だけど重要な保湿因子
NMFは角質層の約20〜30%を占める天然保湿因子です。PCA・アミノ酸・乳酸・尿素などが主成分で、角質層の内側で水分を保持する役割を担っています。
NMFを補う成分として特におすすめなのはPCA-Na、アミノ酸、低濃度の尿素、そしてグリセリンです。
グリセリンは最強コスパの保湿成分です。
地味な成分ですが、研究ではヒアルロン酸より保湿効果が高い場合が多いと言われています。原価が安いため高級感はありませんが、実力は本物。保湿成分として非常に優秀で、コスパも最高です。
保湿業界の闇
化粧品には配合量の表示義務がありません。「ヒアルロン酸配合」と大きく書かれていても、0.00001%でも表示できます。「高保湿」という言葉も同様で、具体的な基準はありません。
日本は特にヒアルロン酸信仰が強い市場です。でも研究ではグリセリン・尿素・PCAの方が保湿能力が高い場合が多いと言われています。「浸透して内側から保湿」という宣伝は過大評価されているケースが多いです。
多くの製品のセラミド配合量は0.01%以下と言われています。実際に効果が期待できる0.5%以上のセラミドが入っている製品は限られています。成分表示でセラミドがどこに記載されているかを確認する習慣が重要です。
化粧品成分が届くのは基本的に角質層までです。真皮まで浸透することはほぼありません。「真皮まで浸透」という表現は薬機法上も問題になりうる表現です。
本当の保湿に必要なのはHumectantで水分を補い・Barrierで構造を整えて・Occlusiveで蒸発を防ぐこの3つの設計です。
高級成分や宣伝文句に惑わされず、成分の実態と配合量を見る目を持ってください。その目を持つことが、肌を本当に変える第一歩です。