→ 無料版第4回の続きです
無料版では成分表示の読み方と配合量の順番のルールをお伝えしました。有料版ではさらに踏み込んで、成分の実態と価格の裏側をお伝えします。
これは業界を批判したいわけではありません。正しい知識を持った上で、自分に本当に必要なものを選んでほしいからです。
安くても優秀な成分の真実
地味で安いけど実力は本物——そういう成分が存在します。
ワセリン
最強クラスの保護力を持つ成分です。刺激はほぼゼロで、アレルギーのリスクも極めて低い。皮膚科でも処方される信頼性の高い成分です。
「地味」「高級感がない」という理由で高級化粧品には登場しにくいですが、実力はブランド価値をはるかに超えています。バリア機能が壊れているとき、敏感になっているとき、最も頼れる成分のひとつです。
実力◎ コスパ◎グリセリン
超優秀な保湿剤です。原価は非常に安い。でも高級化粧品にも普通に配合されています。水分を引きつけて肌に潤いを与える力は本物で、長年の使用実績があります。
成分表示の上位にグリセリンが来ている化粧品は、保湿力という意味では十分に期待できます。
実力◎ コスパ◎ナイアシンアミド
エビデンスが豊富で、安価で、シワ改善の医薬部外品有効成分にも採用されている成分です。美白・毛穴・エイジングケアと幅広い悩みに対応できる、コスパ最高の成分です。
まだ「地味な成分」という印象を持つ方が多いですが、実力は折り紙つきです。
実力◎ コスパ◎ エビデンス◎高級成分の実態
高級成分として宣伝されているものの、実態をお伝えします。
ヒト幹細胞培養液
まず大前提として、細胞そのものは化粧品に入っていません。入っているのは幹細胞を培養したときに出る上清液——主に成長因子などを含む液体です。
さらに濃度が非公開のものが多く、配合量が微量でも「ヒト幹細胞培養液配合」と表示できます。名前のインパクトと実態の間には、大きなギャップがあることを知っておいてください。
名前と実態にギャップあり金
金箔入り化粧品は見た目のインパクトがあります。でも抗炎症効果などのエビデンスは限定的です。
正直に言うと、ほぼマーケティングのための成分です。金が入っていることで高級感と特別感を演出する——それ自体が商品の価値になっている側面があります。肌への効果という意味では、期待しすぎないことが賢明です。
マーケティング主導の成分ヒト型セラミド
これは本物の優秀な成分です。肌のバリア機能を直接補う力があり、敏感肌や乾燥肌に特に効果が期待できます。
ただし問題は配合量です。「セラミド配合」と「十分量のセラミドが配合されている」は全く別の話。成分表示の後半にひっそり記載されているセラミドでは、期待する効果は得られません。表示の前半に記載されているかどうかを確認することが重要です。
実力◎ ただし配合量を必ず確認価格の裏側
化粧品の原価率は一般的に10〜30%前後と言われています。では残りのコストは何に使われているのか。
Cost Breakdown — 化粧品価格の内訳(イメージ)
特にSNSで話題になっている化粧品ほど、広告費にお金がかかっているという見方もできます。高価格=高成分とは限らない。これが化粧品業界の現実です。
宣伝文句の実態
1人の医師が関わっただけでも表示できます。監修レベルでも使用可能。学会が推奨しているわけでも、多くの医師が認めているわけでもありません。「皮膚科医推奨」と「皮膚科学的に証明された」は全く別の意味です。
自社が行ったアンケート、被験者20人、期間4週間——このような条件でも「90%が実感」という表示は法的に問題ありません。数字は嘘をついていない。でも数字の裏にある条件を見ないと、正しく判断できません。
POINT
大事なのは成分より濃度と設計、値段より自分の肌の反応。この視点を持つだけで、化粧品選びは大きく変わります。
本当に効く成分は地味で、安くて、昔からある。逆に派手で、新しくて、名前が難しい成分ほどマーケティング主導であることが多い。
ただし、高い=悪ではありません。処方設計や成分の安定化技術には本物の価値があります。同じ成分でも、どう配合するか、どう安定させるかで効果は大きく変わります。
問題は価格と実力が比例していると思い込むことです。自分の肌の反応を見ながら、本当に必要なものを選ぶ目を持ってください。
・安くても優秀な成分(ワセリン・グリセリン・ナイアシンアミド)は存在する
・高級成分として宣伝されているものの実態は名前ほど派手ではないことが多い
・化粧品の価格の多くは広告費とパッケージに使われている
・宣伝文句は法的に問題なくても実態とギャップがあることがある
高い=悪ではない。でも価格と実力が比例していると思い込まないこと。